夢を見ました。娘の。
夢の中の娘は四歳ぐらいで、とてもかわいらしかった。手は小さくて、足も小さくて、輝いた瞳をつねにこちらへ向けてきてくれました。
けれど……
ふと気付くと、娘は小学生の高学年くらいに成長していて、私の方ばかり見ていることはなくなります。すっと別の部屋に行ってしまいました
それを追いかけて、私もその部屋を出ました。出るとそこはダイニングキッチンで、高校生になった娘が制服姿で流しに立っていました。
周りを見渡すと、整理整頓されているとは言いかねる状態でした。私は少し気になって、放り投げられていた洗濯物を拾うことにしました。
電話が鳴って、娘が取りました。「え? 父が?」
私は顔をあげました。娘はしばらく受話器の声に耳を傾けた後、無造作に受話器を置くと、慌てた様子で玄関から外へ出ていってしまいました。
急いで追いかけようとして私は、……そこで目覚めました。
目が覚めてから、夢うつつのまま身支度を整え、一階に降りると、いつも通り母が台所で朝ご飯の用意をしていました。降りてきた私に気付くと、おはようと声をかけてきます。
おはよう、と返した私は、食卓につきながら、今朝見た夢について考え始めました。
考えてから、思わず母に、父のことを訊ねようとしましたが、母の背中を見ている内にその気はなくなってしまいました。