好みの人をわざと避けてしまう性質がいまだに抜けていないんだな。
何を守ろうとしているんだろう。
その人の前で話したら、そして素直な気持ちでそこにいるなら、今の俺はきっと泣いてしまう。それを隠したいのか。
あることで急に惨めな気分になって、弱気になって相手を頼りたいと思っている。
今まで散々、すれ違っても挨拶もせず、無粋で強気な態度をとってきたくせに、弱気になったとたんに態度を豹変させて、俺を助けて話を聞いてくれ、では虫がいいのではないか。
これが恋愛感情であったならどんなに単純で楽だろう。
そうならば、それはそれで大変だろうが今はこの気持ちのあいまいさに苦しんでいる。
とにかくあの人に嫌われたくない。これは俺の保身だろう。防衛だろ。自分のことだけだろう?醜いだろう。その人からどう思われているか気になるのだ。
おそれているか。もし彼女が少しでも俺に好意を持っていたとして、それがいつしか逆転して悪意となり、俺に向かうのを恐れている。いやもうすでに冷徹な感情に変わっているのではないかと思って近づくのが怖い。
自分の中だけにとどまっているのは気がついている。でも、ただの会話をいまさらするということが、もうとんでもないほどハードルになっているんだ。
なんとまあ想像の中にとどまっていることよ。