2007-10-16

偽りの家族

「どうしたというの。母さんに話して御覧なさい」

ワカメに優しい笑みを投げながら、そう言うフネ

沈黙するワカメ

窓の外の青空

静かな午後。

タマの鳴き声。

ワカメの手を、そっと握るフネ

ワカメの頬を伝う涙。

「私、マスオ兄さんに……」

ポツリとつぶやくワカメの唇。

「いやらしいこと、されたの……」

打ち明けるワカメ

返ってきたのは慰めの言葉でも許しの抱擁でもなく。

飛んでくる、冷たい平手。

ワカメの部屋に響く、肉を打つ乾いた音。

「嘘をつくんじゃありません!」

鬼の形相となったフネ

守るべき世間体

偽りの家族

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