笑顔が素敵な女の子は可愛い。ちょっと赤らんだ頬とはにかみ気味の口元がその裏に甘酸っぱい好意が存在していることを教えてくれるから、笑顔は好きだ。でも笑顔の裏に好意がひそんでいるかなんて僕にはほんとは判らない。その笑顔を見ている僕の勘違いかもしれない。笑顔の女の子を肯定したい自分が作り上げた幻想である可能性は当然存在している。好意を向けられている自分というのを認めたい気持ちから笑顔を肯定しているのだとも説明できるだろう。だけど僕自身が女の子の笑顔に好意を見出すならばそれは本物なのだ。笑顔を向けてくれる女の子は、みな僕に好意を向けているのと同義であるのだ。というわけで同じ部活だった女の子の笑顔がすっげえ可愛い。俺の脳内フォルダはあの子の笑顔映像で5ギガを超えた。でも僕はここで自分に突っ込みを入れなくてはならない。お前の恋慕は5ギガ程度か。ばかやろう。HDDをあの子でパンクさせちまえ。もうどんな思考の余地もないくらいにあの子を。あの子の全てを保存しつくすのだ。しかし保存にばかりかまけて体感することを忘れるな。お前が過ごしたその一瞬は懐かしんだ途端に思い出だ。お前はいつも過ぎたことを何度も反芻して日々を堕落している。今に生きてはいないんだ。
あの子の笑顔をずっと見ていられますように。学校でも道端でもどこでもいいからあの子とすれ違えるように、少しでもいいから楽しそうなあの子を見られますように。ちょっとはにかんでくれるだけで救われるんだ。ちょっと会釈できればそれでいいんだ。同じ場所にいるんだと思えるだけで明日に期待できるんだから、僕は幸せ者だろう?