夢1
別れた妻と街中でふと行き会う。
立ち話をしてみるとお互い昔のわだかまりのようなものは自然と消えていて、不思議と話がはずむ。
そのまま食事をし酒を飲みセックスをして、そこで違和感に気がつく。自分の心の底に残っていたもの、
妻への執着のようなものが私には残っていたはずなのだが、それは今ここにいる女に対してのものでは
ないのだな。ここにいる女は別の女なのだ。女の首筋を甘噛みしながら、荒い息で腰を動かしながら、
私は肌を合わせている女と記憶の中の女とをくらべている。この背中は私の中の女のものではなく、
この声も私の中の女のものではない。
もちろん女の中で私は快楽を得ているのだけれどもそこには何かもどかしい、遠く届かない感覚がある。
それでは彼女の顔も私の中の女と違うのだろうかと思うが、罪悪感と怖さとでどうしても顔を見ることができない。
夢2
会社の帰り、後輩の女性と中央線に乗っている。終電前でも帰宅ラッシュでもない、
混んでも空いてもいない時間帯。同じ車両に上司が乗り合わせる。
いつの間に引っ越したのだろうといぶかしんでいると物怖じしない後輩は上司に
「このあたりにお住まいでしたっけ?」と尋ねる。上司は子供に会いにいくのだという。
別居している奥さんの実家がこの路線なのだという。後輩はさらに重ねて尋ねる
「じゃあ、あの広いマンションに今お一人なんですか?」上司はそうだと答える。
そこでふと彼女が以前飲み会で、上司のことを好みのタイプだと言っていたことを思い出す。
その先二人がどんな会話をしたのかはわからない。