きゅっきゅっとウグイス張りの廊下が鳴る。
全員の視線がこの部屋ただ一つの扉に集中する。
「……鍵」
ルキオが呟いた。ハッと気づき、一番近いバリオが扉に鍵をかける。
ひとまずは安心だ。だが、その気になれば扉を破るのは造作もない。
全員が空手の構えを取り、敵の襲撃に備える。
廊下を歩く音が、扉の前で止まった。そして、戻っていった。
ピシャリと玄関が閉まる音。危機は去った。
全員が安堵し、構えを崩す。すると、インターホンが鳴った。
「誰かな?」
ルキオが玄関に走る。
「宅配便でーす」
ハンコを取り出し、玄関を開ける。
しかし、そこにいたのは宅配業者ではなく、ハンマーを持った大男だった。
「しまった、罠か!」
言い終わると同時に、ハンマーは頭目掛けて振り落とされた。
ツイートシェア