小さなときから変わっていた俺。
個人的には大した違いではないと思っているが、小学校くらいまではアニメや漫画、ゲーム、といったものに殆ど触れなかった。
当然学校ではそういう話で大きく盛り上がることはない。
"知らない"という特異性を売りにして話に加わるくらいなものだった。
多少引け目はあったが、自分の興味はそういった皆が皆経験していると考えられている"普通"なコトではなく、
別の"コト"に向いていた。
それとはまた別に、自分は自分が特別に頭が良いとか優れた才能、天性のものを持っている、
なーんて全く思わずに、所詮俺は凡人と考えていたマセたガキだった。
望む将来をある程度実現させるには、狭く深い人間になろうと思った。
自分に"普通"がないならそれで良い。どこまでも変人であろうと思った。
"普通"を身に着けることは、変人であるためには足かせになるだけ。
なるたけ"普通"は切り捨てた。
俺のライバルは同級生ではなかった。
ここは幼い俺の身の程知らずなところであるが、
しかしその結果、どこまでやっても「まだまだ上はもっと凄いところにあるはずだ。まだ上がある。」
そう思うようになった。
そう思ってやった結果、凡人の俺としては驚くべきところまで来れた。
俺はそんな俺がちょっと好きだ。
"普通"を捨てるという選択は悪くなかったと思う。
でなければ今の俺はない。
でも
でもときどき俺は自分が嫌になる。
"普通"であることを強要される。
所詮凡人の俺には"普通"をこなすことが出来ない。
そうして俺は傷つく。
でもその傷くらい変人になる過程で何度も味わってきた。
俺が傷つくことくらいどうってことはない。
でも
でもそのせいで大切な人たちが苦労したり、傷ついたりする様を見るのは耐え難い。
俺なんか消えちゃえば良いのに。
俺は何してるの?
俺が切り捨てたものって?
俺が得たものって?
大切な人を大切にすることすらできない俺は、何を得たんだろう。