あの人は私に嘘ばかりついている。
せっかくあげた物はロッカーの隅に放ってあるし
つきゆびしたんだ、って言った指の包帯の理由は、実際には感染症だったし
今財布持ってないって一言も、その日だけポケットに財布入れてないなんてありえないし
きっと私を振った時の「好きだけど、まだ手が出せないよ」って言葉も嘘なんだろう。
ただその場を乗り切るためだけの笑顔と嘘。円滑に人間関係をこなしていくための嘘。
そんなあいつが憎くてたまらない。
私はあんないい加減で嘘つきでだらしない男を好きな私のことも憎くてたまらない。
「人間関係面倒くさくしたくないから適当なことばっかり言ってるんだと思ってた。」
そう私が言った時、あの人は目を見開いていた。あれが本当のあの人だったりして。ざまーみろ。
嘘の言葉で簡単に手を出す男よりはマシなんじゃないかと思った。