あるところで、ロボットのコンテストが開かれた。このコンテストは、人の言葉をどれだけ上手に話せるかでロボットの知能を競うものであった。有名な大企業や研究機関が、自らの技術力を誇示するために、このコンテストにこぞって参加した。
ところが、このコンテストで見事優勝を飾ったのは、林祐一郎と名乗る一人の男であった。彼が出展したロボットはとても流暢に喋り、各審査員から「限りなく人間に近いロボット」という評価を受けた。
それから数日後、テレビを見た知り合いが裕一郎に尋ねた。
「君は素晴らしいよ。どうやってあんなに知能の高いロボットを実現したんだい ?」
すると裕一郎はにんまりと笑みを浮かべ、こう答えた。
「簡単さ。あれは中に人が入っていたんだよ。」