2007-06-26

「苦手でしょ」

正直、ベッドでは、相手が本当に気持ちいいのかどうかわからなくて、いつも疑心暗鬼だった。猫なら、撫でてあげると喉を鳴らしたり、気持ち良さそうに目を瞑ったり、わかりやすい反応があるので助かる。もっとも猫とヤる趣味はないが。一応人間だってそういう時にはそういう時の反応があるわけだが、まあ勉強不足でよくわからない(ということにしておこう)。

以前つき合っていた女の子との初めての時、彼女が少し笑いながら「苦手でしょ」と言ったのを思い出す。なぜか嬉しかった。「ナニの苦手な男」としてではあれ、男として受け入れてもらえたことが嬉しかったんだと思う。もし、「苦手」ではなく「下手」と言われてたなら、相当のトラウマになったのではないか。その点、彼女には感謝している。

その彼女との間でも疑心暗鬼は直らなかった。思えば自分は子供の頃から会話でもバドミントンでも人とうまくかみ合うことができなくて、思春期にはセックスを人とつながるための最終最後の唯一の手段だと思って人生賭けてたところがある。その賭けにはきれいに負けた。けど、もっと他のことに人生を賭けようって思えるようになった。結果オーライである。

思春期を過ぎても、恋に落ちるたび、自意識のメリーゴーランドがぐるぐる回りだす。いつまでたっても脱け出せない。男と女、愛と性、基礎と応用、どう結んだらいいのかわからない。ぐるぐるぐる。そんな時、自分に言ってみる。「苦手でしょ」。そう、苦手なんだ。それを許してくれた人がいたっけ。メリーゴーランドがスピードを緩める。だんだん外の風景が見えてくる。

結び合いながらも、ひとつになれないもどかしさ。でも、相手の子を好きという気持ちは、大事なものでしょ。それだけ忘れなければ、なんとか恋愛できそうな気がする。猫なんて、反応がいいから撫でてやってるだけさ。ハエトリグサにハエ喰わせるのとおんなじさ。苦手ではあれ、私がベッドで求めるのは、人間の女性です。

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