どのくらい前だろうか、グッドルッキングボーイズだとか、そういう名前の番組をたまたま見たんだ。
イケメンが時間内に何人の女性の携帯電話番号を聞けるか競ってたり、誉め言葉じゃない侮蔑語としての「バカ」が似合う番組で「アホだなぁ」と永久歯がポロポロ落ちるんじゃないかという思いをしながら見ていたら、その中のトークコーナーでロンゲで金髪の赤ちゃんみたいな可愛い顔をした男が逆ナンパされたときのことを話していた。
話の内容は、風邪を引いたので病院にいったらそこの女医から診察中に携帯の番号とメアドを聞かれたという「それで先生、病気は?」的な羨ましいエピソードだった。
新鮮な時間だった。このコーナーを見ながら、私はこみ上げてくる嬉しさを、抑えられなかった。
常日頃から感じていた憤りが私の中にはあった。
それは正直者がバカを見るような現代社会の仕組みについてではなくて、テレビ番組に出ているイケメンと称されるタレントたちについてだ。
彼らはバラエティ番組などでイケメンという謎な肩書きで登場するのだが、司会者に「モテますでしょう」と聞かれると決まってこう言う。
「いやいや」
彼らは決まってこの話題になると黙して語らず、なのだ。しかし、美形がモテることは世の道理なのでこの「いやいや」は「いやいや(全然モテませんよ)」ではなくて「いやいや(そんな話できませんよ)」なのだ。
司会者もどうせ否定することを想定してこの質問を投げかけてる。
モテない組はモテないエピソードをネタにしたりしているのだ。美形もそうしてほしい。
こうやったらモテる、じゃなくてこんなモテ方をした、が聞きたい。
美形タレントが顔を出して、客を想定した形で楽しげに披露する。
私は美形が「モテますでしょ」と聞かれて「そうなんですよ。この前こんなモテ方しましてね」とフランクにモテエピソードが話せる世界を望む。
何より山下智久や成宮寛貴だとかのテレビに出てくるような美形のモテトークが聞きたいのだ。
きっとすごいモテ方をしているはずなんだ。