蟋蟀を握りつぶした。指の間からスカイブルーのinkが漏れ出す、それを箸に塗りつけた後、残りのinkで手帳に今日の出来事を記入し始めた。
一通り記入し終わった後、牛乳のような白い液体を飲み干した。それは異常にすっぱく、ふらふらとした脚で私は紫色のクラシックな椅子に座った。
窓の外には何匹かの大きな蜥蜴が綺麗に整えられた芝生の上を這いずり回っているのが見える。
もう何もする気が起きない。何も。
夢で見たのは高い山を登っている私だった。何人かのイギリス人と私は既にかなり体力を消耗している。
何も出来ずに倒れた私はそのまま地表に吸い込まれた。山に包まれた感覚で満たされた気がした。そしてその中で安らかな気持ちで一晩眠った。
翌朝、目覚めると妻が目の前に存在した。妻は泣いていて、私たちの飼っていた子犬が死んだと伝えた。
芝刈り機に犬を食べさせた後、私は死ぬ事にした。それが一番簡単だからだ。