俺は考え始めた、何故俺はクズになりたかったのかを。
なんとなくかっこよかったからだ、それでクズの成り方は楽だからだ。努力は必要ない。
転がるだけだ。何もしなくていい、むしろ何もしなければいい。そして俺は転がってた。
いつのまにかクズになっていた、クズになる過程で俺はいろいろなものを身につけた。
嘘をつくこと、はぐらかすこと、投げやりになること、大事なことをしないこと、誠実さをもって生きないこと。
いい加減なことに人生を費やすこと。
俺自身はかなり早い段階からクズになってた。でも本物のクズに今なっている気がする。時間が俺をそうさせた。クズとしてきちんと発酵した。正直本物のクズはちょっと嫌だ。
あぁ、成れたのかと思う。俺はぬるい形ばかりのクズがよかった。たぶんその辺が心地いいはずだったからだ。でも、転げ落ちてくる玉を止めることがクズに出来るわけが無い。踏ん張ることを忘れた。踏ん張り方を忘れた。クズになる過程で早い段階で捨てた。
どうしようもなく救い難いクズが出来上がっていた。
俺にはなにも無い。気持ちいいほどだ。
でも、その代わりに何もしない期間が長かった俺は腐っていた。
二日置いた水も腐ったような味がした。俺もこんな味がするのか。
ほろりと苦いかっこよさならよかった、俺はこんな味がするのか。
不味い。