私の誕生日は2月15日。バレンタインの次の日です。だから、バレンタインで大好きな人とお付き合いするようになって、その次の日に大好きな人と二人で一緒に誕生日を過ごす…そんな乙女ちっくなことを、小さい時から考えていたのですが、私は今まで男性とお付き合いしたことはおろか、告白したことすらありません。そもそも男性を好きになるということがよくわかりません。格好いいな、優しいな、というのはわかるんですけど、好きだな、大好きだな、っといった気持ちはよくわかりませんし、体験したこともありません。そんなわけで、未だに夢は、大好きな人と過ごす誕生日は、叶わぬままなのです。
でも、そんな私にもようやく、初めて好きと言える人ができたのです。彼は格好もよくもないし、性格も優しいというより、良く言えばクール、悪く言えば冷たいのですが、見ているだけで胸がドキドキして頭が沸騰したように熱くなってしまいます。私はこれが恋なんだと嬉しくなり、友人たちに相談してみたところ、笑われてしまいました。なぜなら、彼は私よりも一回り以上年上だったからです。あんなおじさんのどこがいいの?あんなおじさんやめときなよ。友人たちにそう注意されました。でも、私は友人たちの忠告を聞きませんでした。いや、聞けませんでした。だって、やめようと思ってやめられるようなものではありませんでしたから…
そして今年のバレンタイン。私は勇気を出して彼にチョコを渡しました。チョコを作るのは初めてだったので勝手がわからず、何度も何度も失敗し、ようやくできたチョコもとても売り物とは比較にならないくらいの出来でしたが、彼を大好きだっていう心はいっぱいこめたつもりです。彼はとても驚き、そして、自分みたいなおじさんをからかわないでくれよ、君みたいな若い子にはもっと若くて格好の良い相手がいるんだから、と受け取ってくれませんでした。私は悲しいのと悔しいのと腹立たしいのと、ごちゃごちゃになってしまい、頭に浮かんだことを全てぶちまけてしまいました。歳なんて関係ない!若いから、格好いいから好きになるわけじゃない!あなただから、あなただから好きになったんです!生まれて初めて人を好きになったんです!だからそんなことで私の気持ちを否定しないでください!もしも私の気持ちが迷惑なら…そう言って下さい……でも私があなたを好きな気持ちだけは、そんなことで…否定しないで下さい…。
どこまで言えたのかはわかりません。私は途中で泣き出してしまいましたから。全てを言い終わり、俯いて泣き顔を隠す私。私の言葉を受け止めてくれ真剣に考えてくれている彼。実際には30秒程だったのでしょうけど、でも私にはこの上なく長く感じられました。続く沈黙に、止まらない涙と、泣きはらした目。そしてぶちまけてしまった私の態度。彼は呆れてしまったでしょう。だから小娘は…と思っていることでしょう。彼がそう思っていると考えただけで、胸が裂けそうなくらいに痛みました。もう帰ろう。家に帰ろう。その場にいれなくなった私は彼に背を向け、走り出しました。が、腕をつかまれ、急に後ろへと引っ張られました。え?と気がついたときには彼の胸の中でした。ごめんね。あんなことを言ってしまって。本当は僕も君のことを…。でも、やはり年齢のことが気にかかってしまって…。彼は苦しそうに言いました。じゃあ、やっぱりだめなの?と私が涙声で彼の目を見ながら尋ねました。でも、もう決めたんだ。そんなことには囚われないと。だからずっと一緒にいよう。そう言うと彼は顔を私の高さまで下げてキスをしてくれました…
そして2月15日。私は彼の家にいました。彼は昨日キスをした後、手を繋いで家まで送ってくれました。その途中、私が小さいときからの夢の話、大好きな人と誕生日を過ごす話をしたら、よし明日は僕の家においで。君の誕生日を目一杯お祝いしてあげるから。そう言ってくれたので、2月15日の誕生日は彼の家にいました。初めての男の人の部屋で、とても緊張しました。しかも、それが彼の家だなんて…私がそんなことを考えていると、何にやにやしてるの?と彼に見られてしまいました。ケーキの準備があるからと席を外していたのですが、目の前にろうそくに火がついたケーキがあることから、どうやら私が妄想している間に済んでしまったようです。私は誤魔化すのもどうかなって思ったので、今この状況が、幸せすぎて。とありのままの気持ちを伝えたところ、彼も恥ずかしかったようで赤くなってしまいました。赤くなった彼がかわいすぎて、嬉しくなった私は、私も熱くなってどうにかなっていたのでしょう、ねえ、キスして…と言っていました。彼は途惑いながらも、心を決めたように、私にキスをして、そして私たちは結ばれました。
起きると2月16日になっていました。彼はすでに起きており、おはよう、って言ってくれました。それが嬉しすぎてまたもや顔がにやけてしまい、彼にからかわれてしまいました。ふと、テーブルを見ると昨日のケーキがまだ残っており、どうする?と彼が聞いてきたので、食べよ?と答えました。彼はポケットからライターを出すと、もう消えていたろうそくに再び火をつけてくれました。1日遅れではあるものの、大好きな人と誕生日を祝うことができそうです。そう考えるだけで笑顔になってしまう私は世界で一番幸せじゃないんだろうかと思いました。そうして世界で一番幸せな私は、彼がつけてくれた11本のろうそくの火を、大事に大事に吹き消しました。
嫉妬するより先になんだかほんわかしてしまったじゃないか。
嫉妬するより先になんだかほんわかしてしまったじゃないか。 http://anond.hatelabo.jp/20070216200427 * 2007年02月16日 mmmx mmmx 増田氏, 共感 なんやかんやでこういう乙女ストーリを夢みている...