圧力団体がないから科学者・技術者たちがワリをくうのだ、という説があります。
http://d.hatena.ne.jp/sivad/20070129#p1
では圧力団体があれば科学者・技術者たちは報われるのか、という疑問は明らかにされていません。
おそらく、圧力団体があっても事情は変わらないでしょう。なぜなら、圧力団体が圧力をもてないからです。
圧力を持つためには利権が必要です。しかし科学者技術者が一体どのような利権を持っていますか。
みな結局サラリーマンです。プロフェッショナルではありません。
フリードマンの説を俟つまでもなく、全ての人間活動は価格論に内部化されなくてはなりません。
要するに、市場経済が全てを決めます。
市場は既に存在する物の価格を調整することは可能です。
しかし、新技術が勃興してくるためにはその市場の外に出ることが必要です。
市場の外には一体何が広がっているのでしょうか。無です。
誰も無に金を投入しようとはしません。ある一群の人間たちを除いては。
軍人たちです。
軍人たちは、常に、「完全に新しい技術」を必要としてきました。
石器・金属器に始まり、狼煙、火薬、馬術、造船、航空機、化学、微生物、医学、核物理学、無線通信=電子工学、宇宙工学、そして、情報工学に到るまで、すべて、すべての発展には、ただ、敵を殺す、そのためだけに、無尽蔵に資源が投入されてきました。
日本の経済発展をもたらしたといえる科学技術のレベルの高さは何だったのでしょうか。
どうして、ホンダは、トヨタは、ソニーは、戦後、世界で伍していくことができたのでしょうか。
それらの会社の勃興期の技術者たちの出自を考えてもよいのではないですか。
自動車を開発したエンジニアたちは、戦中、戦闘機を作っていたと聞きます。
腕の立つ無線技師たちを擁していたのもまた軍でした。