2007-01-26

吾輩はロリである。名前はまだない。どこで生まれたかとんと見当がつかぬ。なんでも薄暗いじめめした所でころんと転がっていたことだけは記憶している。吾輩はここで初めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれはヲタクという人間中で一番醜悪な種族であったそうだ。このヲタクというのが我々を一通り見渡し、何事か喋ると、我々は何かひどく狭苦しい所へ押し込められた。

ふと気が付いて見ると人間が作業をしておる。たくさんおった姉妹は一人も見えぬ。その上今までの所とは違ってむやみに狭い。はてな何でも様子がおかしいと、のそのそ様子を見ると非常に息苦しい。眼にはみえない何物かが自分の周りを取り巻いているようである。

ようやくの思いで型から顔を出したときには、かつて裸であった体にゴスロリメイド服が着せられておる。吾輩は机の上に坐らされてどうしたらよかろうと考えてみた。別にこれという分別も出ない。しばらくじっとしておれば人間がまた放置してくれるかと考え付いた。そうしてしばらく待ってはみたが誰もやめない。そのうち体はさらに肌色に着色され、リボンもずいぶんと増えた。

どうにも不安になってきた。泣きたくとも声が出ない。仕方がない、何でもよいからここから出ていこう、日の当たる場所まで行こうと決心をしてそろりそろりと動きはじめたとき、俄かに足元が動き出し、吾輩はその場に転がった。狭い箱のなかに閉じ込められ、ついでさまざまな過程を経て再び気を取り戻したときには、吾輩は棚に設置され店先に並んでいたのである。アキバ名物『萌えフィギュアのできるまで』

  • anond:20070126084549 どうも再掲載ありがとう。こういう読み切りの小品ってのは匿名ダみたいのにとてもフィットすると思うんだよな、ちゃんと謎解きにもなってるし、すごく気に入りました...

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