小学生の頃のこと。担任の教師が言いました。
「明日の図工の時間はスケッチをするので、あなたの大切なものを持ってきてください」
私は困ってしまいました。
そんなもの、持っていなかったからです。
悩みに悩んだ挙句、私は好きな食べ物を持っていくことにしました。
食べ物は大切だ、と考えたのです。
私が真っ赤な林檎をスケッチしていると、担任がやってきてそれを止めました。
結局、自分の靴をスケッチすることになりました。
林檎は帰ってから食べました。
小学生の頃のこと。担任の教師が言いました。
「代本板を作るので、要らない本を持ってきてください」(木板の代わりに本を使ったのです)
私は困ってしまいました。
家に帰って本棚とにらめっこしました。
要らない本なんて一冊もありませんでした。
私は代本板を作れませんでした。
代本板がないと本を借りることができないので、
休み時間や放課後は、時間の許す限りずっと図書室で本を読んでいました。
小学生の頃のこと。担任の教師が言いました。
「あなたの将来の夢をプリントに書いてください」
私は困ってしまいました。
工作の時間になるとお姉さんはすぐ 「今すぐ紙コップを2つ用意してね♪」 とか無茶なことを言うので困ってしまいました。コンビニもない時代に、朝の7時半からそんなこと言われても。