ある程度満たされていた人間にいい加減な自由を与えたら何が起きたのか。
僕が受け取っていた自由は駄目になるほうの自由の方だけで、前々から良くなる方の自由は与えられていた。それはむしろ前の世界でも推奨されていた。前の世界の方がその意向は強かった。
こっちの世界じゃ駄目になる自由もまた推奨され・喧伝されている。
阿呆な僕にいい加減な自由を与える頭のいい人達を僕は憎む。阿呆を阿呆へ近づけるだけだ。頭のいい人たちを頭のいい人たちへ近づけるだけだ。
僕はどんどん本当の幸せから遠ざかっていく。そうか、彼等は阿呆な僕らの相手をするのが・面倒を見るのが嫌でこういう自由を彼等にも僕らにも与えたのか。
僕らは人生を捨てて、彼等はその分人生を得たんだ。僕らの得たものは大きな不幸で、彼等の得たものはちょっとした幸せだ。
でもそれはイコールだったのだろう。