2006-09-24

[]お父さん

末期癌のお父さんへ。

5月末に『早くてあと2ヶ月の命』と言われてから、

もう3ヶ月以上経ちましたね。

これまで務めた職場を辞め、

自分で会社を興そうとした矢先の事でした。

貴方に告知をせずに、私達家族の胸の中に留め続ける日々が、

もう4ヶ月になるかと思うと、あっという間でした。

余命の宣告の頃、私は、友人や恋人との間に悲しい出来事があり、

貴方より先にあっちへ行こうと思ったりもしました。

毎晩毎晩、悲しさと虚しさと怒りと悔しさで、

涙を流していました。

自分の身体を切ってみたりもしました。

今でも、時々突然心にぽっかりと穴が空き、

自分で自分を制御できない日がやってきます。

友達にも、迷惑をかけています。

貴方が病気に負けず、頑張っているのは、

私達家族が、貴方に心配をかけ、

貴方に『こいつら置いて死ねるかよ!』と、

思わせてしまっているからでしょうか?

貴方に心配をかけないように、

自立した人間になって、安心して病気に立ち向かって貰った方が良いのか、

もっと心配をかけて、もっと長生きしてもらった方が良いのか、

どちらが良いのか悩みます。

数年前に大腸に出来た癌を取り除いた時から晴れ上がった右足を見る度に、

胸が締め付けられます。

貴方で興す会社で使う予定だった、工具が積まれた車を見る度に、

悔しさで胸が一杯になります。

先日、病院の先生が、『年内いっぱいは大丈夫そうです』と

おっしゃっていたそうです。

『このヤブ医者が!』と思いましたが、嬉しくてたまりませんでした。

クリスマスも、お正月も、4月の貴方の誕生日も、その先もずっと、

まだまだずっと、長生きしてください。

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