2016-06-01

10年付き合いのあった人に縁を切られた馬鹿な男の話。

10年前、彼女と知り合った。知り合った経緯はガールズバーでだ。

知り合ってしばらくして彼女から一緒に遊ぼうと言われ、店の外で遊ぶようになった。

もちろん買い物、そして買い物、理由は多分俺は客の一人だったんだろう。

そうして客としての付き合いは続いた。

10年間、一緒にいろいろな店を渡り歩いた。

彼女が寮に住んでいて、大学に入学したばかりだと言うのでほとんど会えなかった。

けどその分を埋めるように、毎晩メールでやり取りし、途中でそのまま眠ることもあった。

ほとんど会えなかったけど、メールが帰って来るだけで幸せだった。

ほぼ毎年、誕生日に、クリスマスに、バレンタインに、プレゼントを贈った。会って欲しくて、せめてプレゼントで繋ぎ止めたかった。

服を数枚選んだり、靴を選んだり、お財布を選んだりした。

ときどき彼女は、「この洋服欲しいんだよね」と言った。

一緒に買いに行こうよと言うと、大抵は学校が忙しいと言われた。

一緒に楽しく買い物したいと思っていた、プラス、惚れた弱みと言うか、断ったら嫌われるんじゃないかなというある種の強迫観念から、俺は彼女に服や化粧品、バッグ何でも貢ぎ続けた。

ときには、こんなことも言った。

「バレンタイン(クリスマス)会いに行くから!お願い!」

馬鹿みたいに彼女の勤めている店にプレゼントを持って行った。

約束は2回しか守られなかった。

最近になって、ちゃんと恋人として付き合おう、と言われた。

嬉しかった。

やっと、と思った。

いろんなことで嘘をつかれているとは、うすうす知っていた。

彼女は色んな客と付き合っていた。

キャバクラで勤めるようになり、ナンバーになると自分だけの売り上げでは足りない事を知っていた。

大学の寮からキャバクラの寮へ引っ越した。

突っ込んだことはない。

こういう矛盾点突っ込むと、すぐ、縁を切るね、ばいばい、と言われるから。

付き合い始めても、メールの返信は稀だった。

毎日、お仕事お疲れ様、今日はこんなことあったよ、みたいなメールを送ったけど、それに返信がくることはほぼなかった。

LINEが登場してからはメールはLINEに切り替わり、返事も一言になった。

会いに行くのはいつも俺だった。

彼女が店を変わる度どんなに遠くても会いに行った。

大学時代から大して趣味も無く、学校の家の往復、会社と家の往復をしていた自分には勇気が要る事だった。

付き合おうと言われたけど、軽いノリで好きだとしか言われた事は無い。

彼女のツイッターの本アカには他の客と行ったで有ろう旅行やデートが毎日のように投稿されていた。

彼女は皆の物だった、悔しくてたまらなかった。

だから、「俺も一緒に旅行に行きたい」と言ってみた。

「そういうのは友達か家族としたいから」と言われた。

なんで? って思った。

でもそれは考えれば分かる事だった、俺の使ってあげられる金額が足りないんだ、って思った。

会ってもセックスしない仲だった、彼女がデートプランを考えて来てくれて夕方には疲れて店に行くか解散だった。

知り合いには、貢がされるだけの客、と言われた。

ある日、ちょっと聞いてみた。

「俺は○○ちゃんの一番にはなれないの?将来結婚するなら◯○ちゃんしか考えられない」

答えは、

「今はまだ結婚とか考えて無いの」

だった。

どう転んでも単なる客だった。

そんな彼女でも好きだったから、毎晩だったLINEが間遠になり、たまにしか無いデートに誘われなくなると、不安が増した。一緒に居たい、同伴でも良いから、って言っても、今日はすごく忙しいからごめんね、と返答される日が続いた。

もう飽きられたのかな、今月は使った金額が少なかったのかな、もう嫌われたかな。

不安はネガティブな発言を招き、結果、彼女を怒らせた。

そうして、「ごめんね、■さんの事は好きだけど、私はこれが仕事だから」

LINEをブロックされ、着信拒否された。

10年続いた関係の終わりは、あっさりしたものだった。

結局、彼女にしてみれば俺は都合よく使えるだけの客だったのだ。

以前、一緒に店に行った同僚の男性に言われたことがある。

「二人の関係って、友達とか恋人っていうより、本当に客と店員だね」

そのとおりだったんだ。

彼女は客を簡単にポイ捨てし、もっとお金を使ってくれる客と仲良くして居る。

さらに、知ってしまったこともある。

彼女には、客では無い彼氏が居たのだ。この10年間何人も。

彼女が辞めた後、寮からも出て行き、同じ店だった別のキャストに教えてもらった。

以前聞かされた話では、そんなヒマは無い、と言う話しだったのに。

10年は長すぎたな、と思う。

俺はもう年を取りすぎていて、新しい恋愛を望むべくもない。

未来に夢を見ることも出来ない。そういう年齢だ。

貯金どころか借金の有る中年男。

○歳になったら結婚してあげる、と言われて、舞い上がったこともある。

馬鹿な男だ。

セックスする、と言う約束すら守らない彼女が、そんな約束、守ってくれるわけがないのに。

macが物珍しく高かった時代、彼女は言った。

「これが有ったら学校での課題がすぐに終って■さんと会う時間も増えるね!」

買ってくれ、と言っているのが分かった。

ただ、買ってくれなければ会う頻度は減るよね、と暗に言う。

3日以上毎日繰り返されて、俺は、悩みに悩んだ挙句、貯金を崩し、彼女にパソコンを買ってあげた。

そのお金くらい、彼女は大学生なんだから買ってあげないとなと思った。

10年間、給料もそんなに悪く無い会社で働いて居たのに貯金はほぼ無い、それどころか借金が有る。

彼女は俺のことなんてただの客くらいに考えて、今夜も別の客に接客しているのに?

知り合いは、自業自得、と言う。

最初から客以上では無かった、と言う。

確かにそうだなと思う、それに彼女が10年でくれた思い出は尊いものだ。

残っているのはクレジットカードの明細だけ。

前の携帯に保存してあるメール、他はほとんど無い。

彼女の事は忘れてまた働け、今度は割り切って風俗ででも遊べ、と言う。

そんなことしても、意味ないのにな・・・。

彼女の事が本当に好きだった、どうしようも無いくらいに。

今はもうほんとに空っぽの状態で、こんなところに、あったことをぐちゃぐちゃ書くしかなくて。

こんな馬鹿げた話、親にはとても話せないし。

ああ、でも、せめてもう一回位逢いたいなぁ。

何も知らずに盲目的に彼女を愛しているいたあの頃に戻りたいと思う。

写真の中に写る幸せそうな俺の表情、あの頃に戻りたくて仕方が無い。

ウソでも客の一人でも良いから「■さん、好きだよ」と囁いて欲しい。

どうせもっと借金しても変わらないから、整形でもして20歳くらい若返って彼女とお似合いの外見になってやろうかな?

そういう、未練はある。

10年の間に彼女から贈られたものは、思い出と電子機器に残る偽りの愛の欠片だった。


http://anond.hatelabo.jp/20160531174158

記事への反応 -

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん