2010-11-15

つきあい始めた頃の嫁はいつも機嫌が悪かった

"逢い引き"の時など、最初ニコニコしているのだが、中盤から少しずつ、終盤になると必ず不機嫌になっていた。

原因は全く不明。こちらから話しかけても反応が明らかに悪くなる。どこに行こうか?何が欲しい?といった質問など「別にどこでもいい」「別に要らない」と素っ気なく答えるばかり。

そんな事が何度か続いたので、こりゃ脈無し、そのうち振られるだろうと思っていたのだが、不思議な事に向こうからお誘いがしょっちゅう来る。若くて("惚気"になるが)見目麗しい女性からの食事の誘いを断れるほど冷酷ではない私はそのたびにほいほいと出かけていたわけだ。

そしてある夜、相変わらず不機嫌な彼女との間に流れる沈黙に耐えかね、(酒が入っていた事もあって)私は自分人生を左右する言葉を発してしまう。

「俺と一緒に居ても、あんまり楽しくないよね?」

その瞬間、私は生まれて初めて鬼を見た。

「そんなわけないでしょっ!!」

突然の怒号。周囲の道行く人々が一斉にこちらに注目する。狼狽する俺の目をにらみつけながら彼女二歩ほど踏み込み、互いの吐息が感じられるほどの至近距離で吠えた。

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