2009-08-25

中国情勢 - 「科学的発展観」はブレーンなき胡錦涛の苦肉の策だったが…

いわゆる「民主」派の間からも胡錦涛政権批判がおきている。

「団派」は民主派からすれば不倶戴天の敵、共産主義青年団の指導者ともなれば、インテリ揃いの筈だか、党官僚というテクノクラートは所詮、歴代王朝にとりいった宦官のごとし。権力に近いともなると、一人前に腐敗も進行し、期待は日々希薄になっていくばかりではないか。

とくに胡錦涛は息子のスキャンダルが西側メディアに暴かれて以来、庶民の人気も失墜したが、問題は周囲がなぜ、この報道を放置したのか、ろくなブレーンがいないのではないかと海外の民主派がへんな批判を展開している。

歴代皇帝のなかでも英明な皇帝の周りにはブレーンが際立ってしっかりしていた。皇帝はブレーンの献策を大いに取り入れ改革をはかった。それに比べると胡錦涛が獅子吼する「科学的発展観」。いったいあれは何だ、というわけだ。

かれらが嫌う江沢民前政権は腐敗も酷かったが、一方で懐刀の曽慶紅を中軸にブレーン集団が動いた。

趙紫陽の周囲を囲んだ頭でっかちの民主主義派ではなく、中華扇動、ナショナリズムで実態をオブラードで蓋をしつつも、一方で確実にGDPを成長させ、中産階級を育み、それを党員に入れるという「三個代表論」は表向きは成功だったのではないのか、と在米華僑民主派のメディアである「博訊新聞網」も書いた(8月25日付け)。

趙紫陽のブレーンは聡明な知識人が多かったが、なにしろ権力という魔物の実態を知らなすぎた。

中国の皇帝はときに知識人を重用するかに見えて使うだけ酷使すると、あとは平然と弊履の如く捨てる。趙紫陽ブレーンの多くは天安門事件の失敗を目撃し、身を翻して欧米へ逃げた。

▲アフリカにも孔子学院を19も作ったが

資源確保のために中国がアフリカ大陸のすみずみに跳梁跋扈している様は欧米に恐怖と脅威を与えたが、中国はなにを考えるのか米国の「ソフトパワー」を勘違いしたらしく、孔子様の哲学を、まるで伝統と文化の違う黒人に教えようというわけだ。それが孔子学院である。

海外に設立した孔子学院の嚆矢となったのは2004年ソウルである。しかし、ソウルはおりからの中国語ブーム、北京留学の代替基地として殺到しただけのことだった。中国の中央政府の戦略と現地の言語教育とのあいだに整合性は希薄だった。

アフリカには十九の「孔子学院」が発足したが、そのうち四つは大学のなかの科目である。ほかに三つのアフリカの大学が同様にマンダリン教育科目を講座に新設する。徹底的に功利一点張り、アフリカにおけるソフトパワー外交とは、愛の哲学というより実用主義、孔子の「こ」の字もない。

しかし孔子学院が最も顕著なのは米国内である。すでに全米100余の大学に中国語、中国学の講座が履修科目として登録、実際に中国から派遣された教師がいる。これらの多くは中国が予算をつけているのではなく、米国側が財政負担をしている。

豪でもメルボルン大学の孔子学院は75万ドルかけてつくるが、中国政府の負担は一割。2010年間までにこうした施設は世界各地で500となる。中国が負担する予算は三億ドルのうち、三千万ドルとも言われる。

だが効果は?アフリカでは過去十年間、孔子学院を設立し、おしえてきたが効果は疑わしい。とくにモーリシャスでは効果がないと判明した以後はMBAコースに切り替えているという。

というものの、アフリカ人にとって貿易、通商の拡大一途の対象国がチャイナというだけに中国語の習得は実利、金儲けが最大目的である。

「2001年から開始された中国政府の公式なアフリカ人留学生受け入れは初年度が1224名だった。この数字は公費留学並びに奨学金による留学だけで、2010年には四千名、私費留学を含めると一万二千名のアフリカ人留学生が中国に生活することになる」(アジアタイムズ、8月10日付け)。

生活文化習慣がまるで違うアフリカからの人々は食事もあわないから、結局集団で暮らすことになるのだが、人種差別が激しい中華主義の国ゆえに、あまりの黒人差別に広州では先月暴動がおきたばかりである。

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