2009-08-20

コミケ前日に東京行きの機内でお会いした女性を捜しています

彼女に出会ったのは、8月13日昼過ぎ大阪発東京行きの機内であった。俺はコミケ参戦のため上京。早々に機内に入り窓際を陣取っていた。そこで隣の座席になったのが彼女だ。

顔はろくに直視出来なかったが、綺麗な人なのだろう。ふわふわの茶色の髪、レモンイエローのワンピース、明らかにプロの手で整えられた爪、バッグについた金色のテディベア。この女性、スイーツである。初めは完全にビビった。なにしろリア充丸出しの女性は、俺の最も苦手とする人種である(職場が男だらけの俺は、店員さん以外の女性とは長らく会話をしていない)。隣に座るだけで圧力を感じてしまうフヒヒ。

ところが着席後、彼女はバッグからコミックスを取り出しおもむろに読み始めたのだ。それだけで親近感がわいてしまうのがオタの習性である。チラ見すると、前日発売されたばかりの「3月のライオン」「鋼の錬金術師」最新刊。おおやはりスイーツでもそれぐらいは読むのだな、とひどく微笑ましい気持ちになった。自分のフィールドに入ってきた途端に手のひらを返したように上から目線、それがオタ。

そして2冊さくさくと読み終えた彼女が、次に取り出した本に俺は驚かされた。紙も相当に変色しており、やたらと年期の入ったハードカバーの古書である。これもチラ見したところによると、なんと旧仮名遣いであった。詳しくは伏せるが、とある幕末志士の専門書で、後で確認したところによると戦前の本だ。

8月13日東京行き、3月のライオン、鋼の錬金術師、そして幕末志士の専門書・・・。導き出される答えは一つしかない。

この女性、腐女子である。

偏見だろうがなんだろうが、俺はそう確信してしまった。機内という閉鎖された空間の中で、コミケ前の興奮状態が俺を普段から考えもつかない行動に駆り立てる。

「・・・・・・・・・1日目参加されるんですか」

この俺、不審者である。

いきなり話しかけられた彼女は少し戸惑って、笑顔で答えて曰く「わたしは1日目と3日目です。あなたも参加されるんですか?」。

セエェェェェェェフ!俺大勝利!そうです!俺、3日とも行きます!

そこから羽田まで、彼女は色々なことを話してくれた。やはり腐女子であること、サークル参加であること、ギリギリまで原稿をしていて予約した飛行機に乗り遅れてこの便になったこと、けいおん!は唯派であること・・・。女性との会話に慣れていない俺を気遣い、話易い雰囲気を作ってくれて俺も随分と色んなことを話したと思う。

はっきり言おう、俺は名も知らぬ彼女に恋をした。オタに優しくすると、残念ながらすぐこうなる。

結局、彼女とは羽田で「お互いに頑張りましょう」と言いあって別れたのだが、メールアドレスもサークル名も聞けはしなかった。

それから3日間、オタの最大の祭典であるはずのコミケを、俺は彼女のことを考えて過ごした。1日目も3日目も会場で彼女の姿を探したが見つかるはずもなく、戦利品は過去最少。ろくに眠れもしないという有様。今日は午後から出勤だというのに、未だに機内の彼女の笑顔を引きずり続けていて働きたくない。

こんなどうしようもないことを増田に書こうと思ったのは、彼女がたまにはてブや増田を見ていると言ったからだ。私的なことに利用してたいへん申し訳ないが俺にはもうこの手しか残されていない。お心当たりのある方、俺の渡した名刺に記載されているメールアドレスは間違っていたので、anond_hatena@yahoo.co.jp にご連絡頂けないだろうか。ごめんなさい、彼氏がいます、でもいい。引導を渡して下さいお願いします。

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