二人で居る時間はあっというまに過ぎていく。
だけど手の温もりは私を幸せにしてくれる。
二人がそんな関係になれたらいいのにな。
唇をかさね合わせるたびに「愛しているよ」の言葉もうれしい。
だけど、物足りない。
私の心構えを責めるのは簡単だ。
でも、それでは解決しないことはわかってる。
少しでも場を演出しようと頑張ってみた。
君のことを愛しているよ。
だから、少しだけ、私のことも愛して欲しい。
自分が愛されているという実感は、愛されている事実からくるのではない。
しかしながら、実感が事実につながっていると信じたい。
そして今、その実感が欲しい。
私とどっちが大事なの?
彼を試してみた。
あふれるほどの愛で私を満たして欲しい。
でも、彼は迷惑そうな顔をするだけ。
当たり前だ。
大事な仕事がある。
これからの生活がかかっている大事な仕事だ。
結局私より仕事の方が……。
なんでそんなこと言ってしまったんだろう。
私の前に、彼はもう居ない。
仕事は生活のためだけにするものとは限らん。 仕事をその程度のものだと捉えてるなら、たとえば俺みたいな男とは一生分かり合えないだろうな。 仕事なんて金を得るための手段だよ!...