二十三歳の○○は"鬼"に見込まれている。
"鬼"とは小説の中にあった表現だ。
忘れられていく記憶たちが、忘れまいと…。
輾転のたうち逆襲してくるのだ…と○○には思える。
だからそれは空想・妄想の類にすぎないのに…。
それでも、夕べ会ったばかりの人が…のっしのっしと部屋の中を歩き回ると死ぬほど怖い。
ずぼずぼっと胸を踏まれると叫びそうになる。
そんなのが何匹もでるのだ。
しん底怖いのだ……。
だから○○は考える。
…この恐怖はたよりなのだ……。
そう考える時……○○の心の闇にも、あの夜間飛行の寄る場所のような…。
仄かな明るみが見える。
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