2018-05-25

情報化社会で生き抜いていくために

2018/05/25

はてなブログでこんな記事を見つけた。

http://yuhka-uno.hatenablog.com/entry/2018/05/24/103813

「宇野ゆうかの忘備録:ほとんどの女性が性犯罪被害者であることを知った男性に、気をつけてほしいこと」

これを見て、とてもショックだった。

これほどの女性が被害を受けていることをこれまで知らなかったし、

僕は上の記事で触れられている典型的な「声を上げがち」な人間だったからだ。

実際に大きな行動を起こすまでは無かったものの、

女性の味方にとして振る舞いたくなってしまうような人間であるからだ。*1

この日記の本題は、「未成年の時に性犯罪被害にあった女性の割合はどの集団での8割か」

ということである。

まず以下の内容が、男性である僕にとって、この驚くべき事実を認めたく無いがための議論のすり替えでは無いことを述べておく。

むしろ逆にこれから性犯罪被害に関心を持ち、女性の声に耳を傾けるべきという意見を真摯に受け止めなければならない。

さて、僕が考えたいのは記事中の(りょうたっち@ryoutacchi3)のTwitterによるアンケート結果を

そのまま信じて良いのかということである。

約18万人に及ぶ投票の結果、未成年の時に痴漢・性的いやがらせ・セクハラ等をを受けたことが

ある 64%

ない 14%

結果閲覧用 23%

となっている。この結果から閲覧用18%を覗いた64/(64+14)=82%という数字が記事で使用されている8割という数字である。

この結果は一見、大量のアンケートを集計した結果、実に世の中の82%もの女性が被害者を受けた経験があるという印象を与える。

しかし、このような統計調査を解釈する際に気をつけなければいけないのが”標本数”と’’標本の抽出方法”である。

”標本数”については18万人である。

これか十分か否かは判断が難しいが、日常の感覚で18万人もの人から意見を集めるのは難しく

知人から意見を聞くのに比べたら非常に多いという判断にしておこう。

僕が疑問を抱いたのは”標本の抽出方法”に関してである。

今回のアンケートはTwitterで行われたものである。

アンケート参加者がりょうたっちさんのアンケートを発見した経緯を考えると、

RTが主な拡散手段だと考えられる。

では、このアンケートをRTするユーザーはどのような人々だろうか。

おそらく女性の性犯罪被害に何の関心もない人はRTすらしないだろう。

すると自然にこういった問題に興味関心の強い人同士でネットワークが出来上がっていく。

こうした人々は過去に自分が被害にあった方や、知人が被害に会い当事者意識が強い人だと考えられる。

するとどうだろう。

そのような人々が18万人集まってアンケートを行った場合、被害に会われた方が多くなるのは

自然な傾向ではないだろうか。

良い例えかわからないが、動物好きの人を集めて「これまでペットを飼ったことがあるか」とアンケートをとったら

これも”ある”の票が増えると思われる。

これは決して目新しいことではないが、統計調査を評価する際には

その’’標本抽出”が”無作為に行われたか”が重要となる。

今回の結果から、「世の中の女性の8割は未成年の時、性犯罪被害にあったことがある」

と解釈してしまうのはいささか危険だと訴えたい。

さて、危険性だけ訴え終わりにしてしまうのは問題解決に繋がらないので

この問題について、我々が出来ることは何か考える。

アンケートから少しでも正確な情報を得たい場合は

「異なる標本に対して同じアンケートを何度も行う」という方法が確実である。

異なる地域、年齢、職業に属する人に対して同じアンケートをとることで

それぞれの集団の特徴に応じて結果の割合は変化する。

もしも、異なる集団間で結果が似通っている場合、それは全体に共通の性質つまり

「世の中の女性の8割は未成年の時に性犯罪被害にあっている」

ことになるだろう。

最後に、

これまで述べてきたように、りょうたっちさんのアンケートを正しく解釈するなら

「Twitterのユーザーでアンケートを”ある”か”なし”で解答した人のうち約8割が性犯罪被害者である」となる。

しかしこのアンケート結果は少なくとも18万*64%=12万人ほどの女性が被害者であるということを述べている。

今まで言ってきたことを裏返せば、これを読んでいるあなたの周りには、性犯罪被害を受けたことのある女性はほとんどいないかもしれない。

しかし一方でこの日本に12万人もの被害者がいる*2ということである。

性犯罪は性的行動を使用した犯罪であり、被害者の受ける心理的、肉体的苦痛は僕には計り知れないものであると考える。

そのような被害者が12万人もいるということを重く受け止めなければいけない、として

この日記を終わろうと思う。

1(今後気をつけなければいけない)

2 (もちろんアンケート解答者を信用し、複数解答などは無いと仮定している。)

  • 実際バイアスはかなりあるでしょうね。 この手の問題に関して信頼ある統計は聞いたことがない(どこまでを被害に含めるかも質問の文章でかなり変わる)。 犯罪被害にしろ、ハラス...

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