2016-06-02

妻「今年の里帰り、予算的に厳しいんだけど」

一人優雅な気分で朝食を食べていると、寝起きの妻が突然語りかけてきた。

お小遣い制のぼくには家計の内情はわからないが、そういえば今年は子供の進学だとかでお金がかかるというようなことを言っていた。

しかし、その言葉に妻が何を期待しているのか、ぼくには今ひとつ理解できなかった。

里帰り先は妻の実家で、海沿いの片田舎にある。

家が小さいために毎年近くの民宿を利用するのだが、目の前が海水浴場ということもあり昼はレジャーに夜は新鮮な魚介を堪能するという我が家にとっての一大イベントでもあった。

「そうか。そりゃお義父さんも寂しがるな。」

妻の真意もわからぬまま、当り障りのない言葉を返す。

「そうなのよ。一年に数回の、せっかくの孫に会える機会だからね。」

それに続く次の言葉を待ってみるが、妻からは一向に口を開こうとはしなかった。

妻はたまにこうして、自分自身に結論を持っていながらこちらがそこに辿り着くまで口を閉ざしてしまうことがある。

もちろん話は結論に辿り着くまで終わらない。

幾度なく同じ話題を切りだされては、ぼくは何をしていいかわからずお互いに苛立ちを募らせていくのだ。

今回は何を言って欲しいのだろう。

ぼくにどこかから借金をしてこいとでもいいたいのだろうか。それともぼくの大切なカメラコレクションを売りに出せということか。まさかへそくりの存在が?

黙々と朝食の残りを口に運びながら必死に脳を働かせて考える。

妻からそれ以上のヒントをもらえないまま、朝食の時間は過ぎていった。

予算が厳しいのなら中止しかない。

それなのに、妻はこどもたちを親に合わせたがっている。

当然ぼくが出せるお金もない。(コレクションを手放せば別だが)

歯を磨きながら更に考えた。

そうしてぼくはある一つの仮説にたどり着いた。

「まさか。これをぼくの口からいわせようというのか。」

ぼくは愕然とした。

妻よ。汚すぎる。少なくともそれはあなたの口から言うべきだ。

それをあえてぼくに言わせることで、自分の手を汚さないだなんてあまりにも卑怯だ。

果たしてぼくの辿り着いた結論を妻に告げると、つまは仕方なさそうにこういった。

「本当はみんなで一緒がいいんだけどね。パパがそういうなら仕方ないわ。」

今回は奇跡的に結論へと辿り着くことができたが、辿り着いた先に希望などというものがあるはずもなかった。

  • http://anond.hatelabo.jp/20160602134849

    久しぶりのウミガメのスープ

  • http://anond.hatelabo.jp/20160602134849

    妻はたまにこうして、自分自身に結論を持っていながらこちらがそこに辿り着くまで口を閉ざしてしまうことがある。 もちろん話は結論に辿り着くまで終わらない。 こういう女、心...

  • http://anond.hatelabo.jp/20160602134849

    俺なら嫁さんの実家に行かなくていいって話になったら「きゃっほう!」つって喜ぶぜ。

  • http://anond.hatelabo.jp/20160602134849

    コンクラーベ

  • anond:20160602134849

    せっかく自分の実家に帰っているのだから、夫を立てたり甲斐甲斐しく世話しなければならないプレッシャーから解放されて、妻じゃなくて一瞬でも娘に戻りたい もしそう出来たら帰省...

  • http://anond.hatelabo.jp/20160602134849

    上司以外が俺の前でこんな態度取ったら即縁切るわ

  • http://anond.hatelabo.jp/20160602134849

    あなたは我が家の予算管理者にふさわしくなかったようですね。 これまであなたが関わった家計簿を全て提出してください。 第三者に確認を取ってもらい、齟齬があった場合、業務上横...

  • http://anond.hatelabo.jp/20160602134849

    そういう時は、ニヤニヤして「何を言って欲しいのかは察してるけど言わないよ」オーラを出して、 「ふーん困ったねー。じゃあ今年はみんなで家にいるしかないねー、イヤハヤ」 とか...

  • http://anond.hatelabo.jp/20160602134849

    元上司がこういう態度の人だった。部下に言わせることで、「みんなで決めた」ことにさせようという姿勢が見え見え。相談の態はとってるが、結論は決まってるからこっちが何を言っ...

  • http://anond.hatelabo.jp/20160602134849

    汚い? 里帰りできなく要因の一旦はお前にだってあるんだよ?

  • 妻「今年の里帰り、予算的に厳しいんだけど」 解答編

    真夏のうだるような日差しの下、ぼくは海沿いにある片田舎の町の片隅に立っていた。 目の前には長年の潮風にさらされ今にも傾きそうな小さな家がある。 「こんにちわー!」 できる...

  • 増田文学100選

    通勤通学のお供に ランク タイトル ブクマ数 日付 カテゴリ 1 人生に物語は要らない 2126 2017/12/27 00:40 暮らし 2 自走式彼女 2017 2017/09/07 16:42 暮らし 3 ...

記事への反応(ブックマークコメント)

アーカイブ ヘルプ
ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん