「2015は記念すべきヴィンテージになりました。旧村側の畑は例年通りですが、タウン側の畑がいいですね。歴史的な大豊作、と言って良いのではないでしょうか。夏と秋の天候に恵まれたので、駆け出しの作り手でも豊かな葡萄をつくりあげることができました。」
「溌剌とした味わいは今すぐ楽しめるものですし、いくつかは熟成のし甲斐がありそうです。これからが楽しみです。」
(モフ、モフ、という謎の声)
「“タウンの葡萄には深みが足りない”ですって? Pさん、そう決めつけるものじゃないですよ。スタートして間もない品も、生き残れば玄妙な味になります。最初から諦めてかかるのは感心しませんね。」
「それに、若い品には若いうちしか楽しめないフレッシュネスがあるじゃないですか。マニアたるもの、溌剌とした飲み心地にもご着眼いただきたいものです。」
(モフ、モフ、という謎の声)
「こちらとこちらが今年のお奨め商品です。“ハゲクス”も“五都市”も卸してない商品には赤丸をつけてあります。」
「酸っぱい葡萄はこちらです。傷みやすいので保存には気を遣ってください。」
(モフー!という謎の叫び、しかしP氏、署名欄にサインをする)
「しかしPさん、若いころのあなたは、酸っぱい葡萄も甘美な葡萄も自分で育てて、樽に詰めて、洞窟で熟成させる主義だったはず。どうして心変わりされたのですか?」
(モフ、モフ、という謎の声)
「そうですか。では、これからも弊社をご愛顧ください。」