円高の見通し。
1995年の79円75銭をピークに、バブルが崩壊し、2001年には135円をつけた。
バブルの頂上と崩壊の底の時の通貨価値として、同じ比率でアメリカのバブル崩壊に伴う通貨安が発生すると考えると、バブルの頂上が2007年6月の124円くらいとしてその6掛けである74.4円という数字が出てくる。
一度目よりも二度目の方が、はるかに短い時間で結論へと到達するのが、市場の特性である。過去の成功を多くの人がなぞろうとするので、失敗する側にbetする人が少なくなり、過程をすっ飛ばして結果へと行き着いてしまうのである。しかも、オーバーシュートする事がよくある。
向こう一年間で65円をピークにして、70円台をうろうろという予想は、時間軸の加速効果を前提にしている。
問題は、その後である。アメリカが工業国家として輸出を始めるにしても、どこの誰が買うのかという問題が解決していない。日本が長期間低迷したように、アメリカも低迷するという展開の場合、需要が弱いままで円高が定着することになる。バブル崩壊が無ければピーク分を除いてチャートを伸ばした場合に、このくらいの円高水準にはなっていたであろうが、当時手がけていた研究開発はそれをやっていた人員ごとリストラされており、円高状態で輸出を維持できる見込みが無いという状況になるのであった。