相手に初めてではないと告げられたとする
きっと、そう告げられたらぼくは、相手をそれ以上踏み込ませないだろう
あなたがぼくに聞かせるその悲鳴も、忙しなく動くその瞳も、苦痛を隠しきれないその表情も
きっと、あなたはぼくの知らない誰かに沢山見せてきたんでしょう
あなたがぼくに伝えたその心も、じっとりと汗浮かぶその肌も、沈むように赤いその血液も
きっと、あなたはぼくの知らない誰かに沢山見せてきたんでしょう
そう、それはぼくもなんです
ぼくがあなたにぼくがあなたに聞かせるこの声も、力を込めた両手首も、愉悦に歪むこの口元も
ずっと、ぼくはあなたの知らない誰かに沢山見せてきたんです
ぼくがあなたに示すこの愛情表現も、抑えきれないこの感情も、抉るように覗き込むこの瞳も
ずっと、ぼくはあなたの知らない誰かに沢山見せてきたんです
あなたがぼくの初めてでなければならなかったように
ぼくもあなたの初めてでなければならなかった
だから、もう二度と恋愛は出来ない
狂気が現実にならないように
初めて「本物のナルシスト」を見た。あああ、そうなんだー。いや、別にあんたの顔が誰に見られてようとかまわないけど?なんて恋人は要らないんだろうねえ。どれほど経験があって...