あれは二年前の冬のことです。 大変忙しい会社に勤めており、彼女は海外に赴任しておりました。
なんとか一週間の休暇を取得することに成功し、海外に住む彼女に出会いに行きました。
そして、事は日本への出発の日の朝に起きました。 お互い別れてしまえば、またいつ合えるか分かりません。
私は、パッキングを終え、 彼女が浴びるシャワーの音を聞きながら、マンションのベランダで、
一人、タバコをふかし、寂寥感にふけっておりました。 すると、どうでしょう。冷えたのか、
急に腹が痛くなってまいりました。 その部屋は、ユニットバスでした。さすがにシャワーを浴びている横で、
ぶりぶりと、くそをたれるわけにもいきません。 「彼女もじきに、シャワーから出てくるだろう。」
そう思い、しばらくは、たかをくくっていました。
しかし、みるみると、腹が痛くなってくるではないですか。 先ほどまで、悲しげに聞こえていたシャワーの音が、
今は恨めしく聞こえます。額には脂汗がにじんでまいりました。 「早くシャワーから出ろ、早くシャワーから出ろ…」
ただ、それだけを考えるようになりました。しかし、シャワーの音は一向に変化がなく、
なかなか彼女が出てくる気配がありません。
そのとき、中腰で、くそを耐えながら、部屋の中をよちよち歩いていた私の目の前に、台所のごみ箱が現れました。
彼女がシャワーから出るのが早いか、ごみ箱にくそをして、捨てて戻ってくるのが早いか。 もう頭の中は真っ白です。
意を決して、背丈と合わないごみ箱に対し、中途半端な体勢で、パンツをおろし、尻を突っ込みました
「ぼん」我慢していたくそが、腸の中で、ガスを充満させていたのでしょう。爆発を思わせる、大きな屁が出ました。
間もなく、「ど、どどどどど」堰を切ったように、ゆるいが、決して水便ではない、驚くほど大量の、くそが出てまいります。
直立に近い体勢で、くそをたれたため、尻の周りは、必要以上に汚れてしまいました。とりあえず、
自分の穿いていたパンツで、軽く拭きました。尻はまだ、ぬめっていましたが、とにかく時間がありません。
パンツごと、ごみ箱に捨てました。幸いなことにごみ箱の中は、スーパーの空袋でカバーされていました。
瞬時に袋の口を縛り、ずっしりと重く生暖かいその袋を、ダストシューターまで、全速力で捨てに行き、
部屋に戻りました。なんとした幸運でしょう。部屋に戻ったとき、ちょうど彼女がシャワーのコックを閉める音がしました。
やや、ぬめる尻と、「台所でくそをした証拠が残ってはいないだろうか」という疑心で、動転しておりましたが、