2009-09-08

もう会えないDの話

小学校の頃の話だ。

僕は、三回転校し三つの小学校を渡った。

僕が出会った中でもDは少し変わった雰囲気のあるヤツだった。

三年生の頃の事だ。

その時の担任は授業中にしょっちゅう脱線する、まあ割りと生徒に人気のある先生だった。

どこから、そんな話題になったかは覚えていないが「クレタ人のパラドクス」の話になった。

例の「『クレタ人は嘘つきだ』とクレタ人が言った」と言うヤツだ。

その頃の僕は「故事ことわざ辞典」が愛読書だったので、「こいつはムジュンというやつだな」くらいのことを思っていたはずだ。

Dは手を上げて

先生、その話は誰から聞いたの?」と質問にした。

「誰から聞いたとかそういう話じゃないんだよ」と先生は答えたはずだ。

Dは少し間をおいて

「じゃあ、嘘つきは先生だ」と言った。

これはそういう話じゃないんだという顔を先生はしたと思う。今現在の僕もそう思う。

ただ、「嘘つきは先生だ」というシンプル言葉は今でも覚えている。

そして、ムジュンを感じるような厄介な出来事に遭遇した時に、「嘘つき」はどこに潜んでるかわかったもんじゃないなと考える。

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