2009-08-29

その一票を何のために使うか。

小さな町に住んでいる。

明日は選挙の日だ。勝つのはいつも自民党。田舎だから。

別に支持してる党なんてないけど、なんとなく投票には行っている。

昨日、幼馴染から電話があった。

彼女は整った顔立ちで真っ直ぐな眼をしている。黒くて長い髪。

スタイル抜群で、レースクイーンもここまではいかないという程。

今は二級建築士で、一級建築士になるために学校に通っている。

いわゆる自慢の幼馴染だ。

彼女の家族は全員が創価学会員で、ときどきそんな話は聞くけれども、

今まで一度も選挙前に電話をしてきたことはなかった。

「あ、えりちゃん?急にゴメンネ。今大丈夫?」

「あのさあ・・・。」

声が震えているのがわかる。

「選挙・・・行く?」

「うん、行くよ」

「わたし、応援している人がいて・・・」

電話の向こうで強ばっている。

・・・どうしてなんだろうね。なんか、馬鹿みたいだね。

こんな日がいつか来るだろうか、と考えなかったわけではない。

沈黙が訪れる。

「わ、わたし、公明党を・・・」

彼女は、所属する組織での一員としての役割を。

果たしているのだ。良心が痛まないわけではない。

胸がギュッとなった。これ以上、聞きたくなかった。

「ああ、いいよ。どうせ応援しているところないし、このくらいしかできないけど」

言い終わらないうちに早口で即答した。

「え!?ほんと?。ありがとう、ありがとう、ありがとう!ううん、本当に?ほんま、嬉しい」

多分、電話の向こうで頭を下げてる。

駅で電車を待っていたのだけど、ホームに電車が入ってくる。

「あ、じゃあ電車が来たから。またお茶しようね」

「うん、ありがとうなぁ~」

最初の緊張感と、最後の安堵と満面の笑顔がずっしり胸に伝わった。

良かった、という思いと、消化しきれない思いが蹲る。

別にわたしの一票くらい、どこに入れたって変わらない。

特に真面目じゃない私は、なんとなく共産党にでも入れようかと思っていたくらいだ。

別にどこだって構わなかった。なのに、どれだけの人が選挙に翻弄されていることか。

今回私は、彼女の党に入れることになった。その党自体は全然、応援していない。

むしろ、彼女には創価学会を辞めてほしいと思っているくらいだ。

でも、わたしは彼女が好きだし、彼女が喜ぶ笑顔が好きだ。

ガッカリさせたくない。

たった一票じゃないか。こんなに真面目に考えたことなかったけど。

宗教に関係する党に入れるのは、自分の中で呵責があった。。

次の選挙までには、もうフラフラするのをやめて、

自分が良いと思える政党を見つけようと思う。

だけど、今はどこも応援していない。何がどうであっても構わない。

だから、大切な親友のためにわたしの一票を使うことにした。

社会で、自分の立ち位置を決めるのは難しい。

彼女は自分がどこにいて、何をしているのかを、少なくとも知っている。

私は、何かに縛られるのが嫌で、途中で放り投げた。

結果、私はいまだに結婚もせずふらふらしている。

「人の価値は記憶で決まるのではなく、行動で決まる」

昨晩、ハリウッドの映画でエイリアンがそう言ってた。

何もしないというのは、始めから何もないのと同じだ。

わたしの思想は友人票となる。

それが今回の私の行動であり、私の価値を示すものとなる。

あなたは、その一票を何のために使いますか?

  • http://anond.hatelabo.jp/20090829224549 現行の選挙制度化において、アナタが民主主義的観点からまっとうである証は、 誰かに1票を投じたその後に生じるものではない。 誰かに1票を投じる権利を...

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