一人の東京人としてアメリカ人を恨むかと言えば、私はその資格を有する人間であろう。しかし、私はアメリカ人を恨んではいないし、そうしたいとも思わない。
防空壕に潜っても死んだものもあったと聞く。
100軒をゆうに越すほど所有していた長屋も焼け落ちた。
一族の家もほとんどが火災で焼け落ちた、現金はゴミになり、国債も紙切れに。
皇族を相手にするような生業をしていたので職業そのものがGHQに禁止され、守らなければ逮捕された。
いかがわしい商売ではなく現代では合法的にあるものだ。
混乱下、泥棒にあったことも1度や2度ではない。
本当に食べるのに苦労したらしい。
当時はなんの価値もなかった土地がいまではこんなになっているが、当時は本当にはした金で買えるものだったそうだ。
土地より建物の方が価値があったから建物を所有していたそうだ。
戦争は多くのものを失い、奪っていった。
ほとんど何も残らなかった。
だがそれは戦争だからだ。
失うことへの悲しみが参加者を駆り立てる。
失ってしまったことへ対して恨んでも何もはじまらない。