2009-07-02

死ぬしかないのだろうか?

「欲望というのはシールのように、対象にべたりと貼られてしまうものだ。その対象自分では選べない。

 そして、最悪なことに、こいつの接着剤は協力で一度貼ると二度とはがれない。

 自分がほんとうに好きなものをただ愛し、欲望を抱くだけで、世界中から犯罪者として扱われるのがどんな気持ちか、

 きみには想像もできないだろう。同性愛のほうがいくらかましかわからない。すくなくとも現代では職をなくすことも、

 刑務所にいれられることもないからな。わたしは決して愛してはいけないものを、一生愛し続けるしかないんだ」

石田衣良ラストシュート』より。

現代の法で罰せられる対象しか愛せないのに、絶対にその指向は変えることができない。

だから法を侵すことなく、いや、法を侵さないために、己の欲望を満たし吐き出せる代替物を求める。

その代替物さえも規制されたら、欲望の矛先はどこに向けられるのだろう。

意思と関係なくシールを貼り付けられた者たちは、死ぬしかないのだろうか?

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