2009-06-11

中国の尻馬にのってSDR債権なら購入するとロシアも騒ぎ出した

中国の本当の狙いは奈辺にあるのか、ドル基軸をいきなり毀損するのか?

動きが急である。

中国がIMFの「SDR債」なら米国債のかわりに買うと言い出したのは、じつはロンドン・サミット(G20)直前の王岐山・副首相論文からである。英紙『ザ・タイムズ』(3月27日付け)に寄稿して、高らかにドル基軸体制への不信を提唱したのだ。

抽象的な揺さぶりと関係者は軽視した。

ところが、中国はIMFの米国主導にくさびを撃ち込む仕掛けを、このときから熟慮していた気配濃厚である。

G20(ロンドン・サミット)直前に周小川・中国人民銀行総裁が提唱したのは「米ドル基軸のIMFは不公平であり、たとえばSDRを実際の通貨にせよ」という内容で、G20ではロビィで盛んに討議されたが本会議では無視された。

議論は水面下で続いていた。

欧米が油断していた隙を突いて中国はアンゴラに20億ドルのクレジットを供与し、コンゴには90億ドル、これらはIMFをガタガタに揺らした。なぜならIMFの開発途上国支援はいつのまにか、前の買付金の延長でしかなく、利払いを終えると『真水』はほとんどない。

IMFを通じての中国の活躍の余地はなかった。

IMF原資の17%が米国であり、しかし重要な決定は85%の賛成が必要。つまりIMFは永久に米国主導が固定されている。

中国が目をつけたのは、このポイントだった。

SDRの現況を見ると『通貨バスケット』の中味は米ドル44%、ユーロ34%、ポンド11%、日本円11%となっている。

中国は単純に米ドルだけのリスクを背負うより、このバスケットに目をつけた。

米ドルが急激に減価しても、通貨バスケットでバランスをとるSDRならば、よりリスクを軽減でいる。

さらに中国はIMF改革でNAB(New Arrangement to borrow)の提言をした。つまり、米国主導によらず新しい貸し付け制度をつくれ、と主張しているに等しく、ゼーリック世銀総裁もガイトナー財務長官も真っ青になるのは当然だろう。

ゼーリックは米中関係を『ステークホルダー』と言い出した親中派の先魁であり、ガイトナーは中国に留学したほどの中国通。

そしてガイトナー財務長官は日本の頭越しに北京へ飛んでいった。北京大学で講演し「米国祭投資は大丈夫。米ドルは安定する」と言うと会場から失笑された。

・・・しかし、大変な時代の変化に、日本はノンビリしているなぁ・・。

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