上記命題において、
「ドラえもん!ドラえもんはグーしか出せないし、バルタン星人はチョキしか出せないから」
と答えてしまうのは早計という物であろう。
まず、バルタン星人について言及すると、彼ないし彼女の指=ハサミは、閉じたり開いたり出来るのである。
つまり、単純に考えると、彼ないし彼女は、チョキとグーが出せる。
さらにややこしいのは、チョキの扱いである。
この問題は、パーの定義と直結する。
果たして、パーとは何か(初対面の人間にこんなことを言ったら、正気を疑われそうだが)。
(1)手を開いた状態、と答える人もいれば、(2)指を5本とも伸ばした状態、あるいは、(3)掌を見せること
など、議論が分かれそうだ。
(1)の場合、バルタン星人における、パーはチョキと同義ということになる。
(2)の場合、では、例えば、ピッコロ大魔王はパーが出せないのか?という問題に直結する
(彼ないし彼女の指は4本しかない)。ちなみに、全ての指を伸ばした状態、と定義すると、(1)と同様、
バルタン星人においては、パーはチョキと同義ということになる(さらにたちの悪いことにグーとも同義になる)。
(3)の定義にすると、問題が余計ややこしくなる。果たしてドラえもんの手は、グーなのか、パーなのかという問題に
直結するからだ。もちろん、ドラえもんには掌がない、という主張もあるだろうが、ドラえもん本人はその主張を
飲まないかも知れない。本人の主張が大事だ、という人もいるかも知れないが、そうすると、ドラえもんは
ジャンケンでは無敵になる可能性もある。その時々によって主張を変えるかも知れないからだ。
つまり、手を出し合った後で、
「君はこの哀れな丸い手をパーだと思うのかね?僕の心情を理解したまえ!」
と、涙ながらに主張されて、それを飲めないと、悪役になってしまうのだ。全く恐ろしい話である。
仕方が無いので、最初に出す手を紙に書いてはどうか?という提案もあるだろう。
そうすると、事実上、彼らはハンデがないことになる。
したがって、なかなか物事は単純に割り切れない物なのだ。
ドラえもんには指があります。
俺の母ちゃんが強い。