元々そんなに好きな人ではなかった。あんまり好きではないという感情以外は特に何も感じていなかった。特に親しくしたいとも思わないが、そこにいても別にかまわないというそういう関係であればよいと思っていた。
それがだ。
酒がある程度回ってきたときの会話がうっとおしいと思った。
笑いのとり方が下品だと思った。
甘えた声で男性に冗談でしなだれかかるのを気持ち悪いと思った。
かわいい表情を作ろうとして不細工になっているのにげんなりとした。
いやいや、と頭の中で否定はしてみてもどうしてもだめだった。視界に入れたくなかった。
嫌いだといっていた人の顔を思い浮かべてあーなるほどな…わかるわ…と思った。
しらふだと当たり障りなく接することはこれまでどおりできると思うんだけど。
あーやだなぁ。あんまりこんな気持ちにはなりたくなかった。