2008-12-21

虎の威をかる狐の話

自分の友人は役職者の秘書として勤めはじめたのだが、最近話を聞いていると、なんだかなーと思うことが増えてきた。

友人は上司に非常に気に入られているらしく、確かに自分も話を聞くかぎりでは有能な部類だとは思うので、評価されるだろうということは想像がつくのだが、最近なんとなく話を聞いているともやもやするのだ。

友人の上司は褒めて伸ばすタイプではなく叱り倒して伸ばそうとする人間らしい。聞いているととても周囲に対して厳しい人間のように思える。そしてどうも社内では自分の部下について、「A男はこういう点でだめなやつだ」「B子はこれができれば一人前だがまだまだだな」といった発言を繰り返すらしい。

はじめ話を聞いていた頃は、自分上司はこういうことがあって部下に対して苦労している、だとか、こういうことのできる部下が少ないから大変だ、という「上司労りバナシ」だったのだが、最近は、友人自身が、「A男はこういう点で使えない」「B子はもっとこうすればいいのにバカなやつだ」という言い方をするようになってきた。

一緒に秘書業務をしている人間のことも混じっているので、一概には言えないが、なかには外回りの営業職の人間の話もあり、ときどき、「おいおい、お前そいつと一緒に仕事したことあんのかよ。実際にそういう態度を見たことあんのかよ」と突っ込みたくなるのだ。

たとえば書類の提出期限を守らない、と言う話なら、秘書にも関係のある話なんだろうから、上司と一緒になってソイツのことを言うのもわかるのだが、「あいつは客先でもへらへらしてるからだめだ、クビにしたほうがいい」だとか、「外回り中にだらだらしているから仕事が終わらないんだ」などと言う。何かクレームが入ったりしたのかと詳しく聞けば、すべてが上司がその部下を叱責するときに、「こういうことができていないということは客先でもへらへらしてるんじゃないのか、それじゃだめなんだぞ」とかそんなふうに言った内容を受けての発言ばかりなのだ。

確かに友人は役職者の秘書だが、それは部下にとって上司と同位なのだろうか。上司の代理人としての側面も仕事のうちだとは思うが、なんだか違うところまでいっしょくたにして仕事をしているような気がする。

要するに、一言でいえば聞いていてあまり気持ちのいいものではないのだ。

さらに、時折、「あいつはこうでこうでダメなやつだから、今日外回りのとき電話がかかってきたので、バカはちゃんと仕事をしろと言ってやった」だとか、「残業の多いのがつらいなどと甘えたことを言うから、甘えていないでもっと休み無しで働けと言ってやった」とまで言うようになった。自分はその部下たちを実際に知っているわけではないのでなんともいえないし、庇える材料もないが、なんだかんだ聞いている話のなかでは上司と部下はそれぞれうまくやっているらしいので、彼らのなかではコミュニケーションのひとつとして流されているのだろうとも思う。しかし自分が聞いている限りでは、あくまでもそれは上司と部下たちのあいだの話であって、友人と部下のあいだに信頼関係があるのかといえば微妙なところだ。逆に、実は友人は部下たちには嫌われているのではないかとさえ思える。さらに、別な部署の上司たちとも仕事がら親しくなるため、自分の所属する部署以外の人間のこともあれやこれや、その他部署の上司に進言しているらしい。

友人は果たして、その上司が居なくなったらその会社でうまくやっていけるんだろうか。あるいは、別な会社ではちゃんと働けるのだろうか。

これをうまく伝えられない僕自身も相当なへたれだと思うし、これで友人などと書いていいものか悩むところもあるが、すべてが虎の威をかる狐の話に聞こえてならない。友人の言葉は部下たちにどのように響いているのだろう?

長くなって申し訳ない。

でももし、自分が、上司新参秘書にバカだとか使えないだとか言われていたら、気持ちよく働けるだろうか?

最近考え込んでしまうのだ。僕は考えすぎているのだろうか。ちょっとした酒の肴めいた誇張話なのだろうか。友人の今後がどうなるのか、気になってならない。

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