2008-08-20

http://anond.hatelabo.jp/20080819180826

 元エントリにブックマークされた方がいらっしゃるので御礼代わりに。日本の名目実効レートの要因分解と同じ方法で米国について行ってみると面白いことがわかる。日本の場合は、07年半ばから08年3月までの円高局面において1.実質実効レートはほとんど変化していない、2.貿易相手国との相対物価(貿易相手国物価/日本物価)の寄与率は全体の変化の7割以上だったわけ(つまり日本も物価上昇していたけど貿易相手国の物価上昇の方が急激だった)だけど、米国は日本と正反対なのです。

 つまり、07年半ばから08年4月まで続いていた米国の名目実効レートの低下(ドル安)では、1.実質実効レートの低下が観察され、かつ名目実効レートの低下に対する寄与率は8割を超えていた、2.貿易相手国との相対物価(貿易相手国物価/米国物価)はほとんど変化していない、という結果になる。米国の動きを解釈すると、サブプライムローン問題への対応策としての金融緩和策が実質実効レートの低下に大きく寄与していると見込まれるわけだけど、物価上昇という意味では貿易相手国と大きな差がないというわけです。そしてもう一つ指摘すべき点は、米国の名目実効レートの変動率と日本の名目実効レートの変動率を比較すると、明らかに米国の方が為替レートの変化は小さい、つまり為替レートは米国の方が日本より安定的なのです。

 我が国は、米国と比較して大きな為替変動に見舞われているのに何ら政策手段を行使していない。そのことが「円高インフレ」などという奇妙な状況を作り出して、ご丁寧なエコノミストの中には、円高で内需拡大して景気が良くなるなんて放言を言い出す人間が沸いてくる始末。為替変動を安定化させるには上手く金融政策を行えば良いのになぁ。

 一方で米国の場合は果断な金融政策を行ってリセッションを食い止めようとした。ドル安は実態経済が良くなるにつれて実質実効レートの上昇を伴いつつ上がっていくことになるのでしょう。そして物価上昇に目配せすれば、貿易相手国と自国との相対物価の変化も押さえられるというわけですね。

記事への反応 -
  • 米国でサブプライムローン問題が表面化し、原材料価格の高騰が進展した2007年7月から2008年3月までの期間、名目為替レートの円高とインフレが進むという状態が生じた。この事実を持っ...

    •  元エントリにブックマークされた方がいらっしゃるのでサービスではないですが(多謝、日本の名目実効レートの要因分解と同じ方法で米国について行ってみると面白いことがわかる。...

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