2008-06-20

http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20080617#c1213787952

ま、ありがとう。わかる人にはわかる。「心情的には私も耐えられないと思う側に近い」のは、たぶんほとんどみんなそうなんだから、しかし他方で国家権力存在するし、かついまのところ必要なのだから、いかにこれを運用するかという問題のはずで、その意味で人々は賢くならなければならないはずだ。ただ単に権力に対する反発からだけでは、左翼は広い説得力を得られない。現に人権の侵害だなんていくら言ってみたって誰も納得してくれないじゃないか。政治的な旗として利用しているだけ、あるいは政治的な言説に知らないうちにのっかってるだけだと、みんな知っている。

最近ではgood2ndさんの記事は面白かった。

http://d.hatena.ne.jp/good2nd

バカサヨクとかブクマがついていたけど、彼についてはそう思わない。ただ、やっぱり反権力の枠のなかでしかものを見てないのがどうにもならんなとは思う。

西成のあの一帯は(たぶん)ボランティア活動の定番みたいなところで、冬場に炊き出しなんて、やったことのある人は多いはずだ。だから、詳しいことは何もわからなくても、あの空気や目に入る具体的なもろもろはイメージできる。そういう人はかなりいるんじゃないか。

この話を知って真っ先に思い浮かべるのは、施設などで地道に働いておられる人たちの顔、やさしそうなおじさん、おじいさんおばあさんの顔。顔顔顔。あの人たちは、いったいこの件についてどう思っているのだろう。なにがあってどうなってるのだろうか。僕になんていうのだろうか。そして僕にできることがあるとすれば、それは何なのだろうか。

そんなの考えるまでもない、立派な人権侵害じゃないかというのはとても簡単だ。問題意識を持つのは大事なことだけども、だけど警察権力の横暴だから、ではなくて、顔を思い浮かべることのできるあの人たちのことがまず第一のはずだ。いや、good2ndさんだってそのつもりだというに違いないけれど、でも権力暴力という枠組みのなかで論じちゃっているでしょう。たしかに警察暴力は問題で許してはおけないけれども、でもすこし重点がずれてませんか。

つまり、抽象的な枠組みの中に現実をはめこんで処理して、それで憤激している。左翼右翼ポジショントークは、こんなところからすでに始まっちゃってると思う。

あともうひとつ、マスコミが、とくに東京メディアがなぜこの件を報じないかという問題は、おいておく。大事な問題をちっとも報じないのはいつものことであって、いまさら憤激するようなことじゃない。

西成の人たちは僕になんていうだろうか。いま、僕はあの人たちのために何もできず、ただ人々の笑顔を信じることしかできない。ほんと、この気持ちがどっかでうまく伝わってほしい。でも、簡単に反権力の枠組みのなかに現実をはめ込んで怒るだけでは、結局世の中なにも変わらないと思う。

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