私は、偉大な母と、あんまり偉大でない父の間に生まれた。
子供の頃は逆だと思っていた。いくらか成長して、逆であるべきだと思った。成人してしばらくたって、事実を受けいれた。
母は今日も古い家を維持するためにせわしなく働いている。
私は頼りない性格の末っ子で、父に似ている。
父は退職後すっかり萎縮してしまって一日中下らないテレビを見ている。
父の老いを見ていると、かなしくなるものがある。しかし私は、精確に彼と同じように老いていくのだろうとも思う。
私は、偉大な母と、あんまり偉大でない父の間に生まれた。
しかしまあ、結局は、偉大であるかどうかなんて、どうでもいいのだ。
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