僕が訪れる町は、訪問一週間後には水害に遭う。
詳しく言うと、手を広げた位の直径の水柱が天から降って来る。点々と。
僕が町を去ると、つい先日訪れた町が、水害で壊滅状態だということをニュースで知る。のが常。
怖くなった僕は、いつも逃げていた。留まることは出来ない。僕も死んでしまうから。
ある時、僕は思った。「町の人も一緒に逃げれば良い。そうすれば死なずに済む。」
滞在六日目のある町で、僕は町長を訪ねた。「かくかくしかじか」「おお、そうか!町のみんなに知らせて来るわ」
僕らは逃げた。翌日、その町は湖と化していた。僕らは助かったのだ。
しかし、逃げ延びた町も一週間後には同じ有様になってしまうことを僕は知っている。
僕らはその町の町長にも事の詳細を伝えた。「かくかくしかじか」「おお、そうか!町のみんなに知らせて来るわ」
逃げて逃げて、逃げ延びて、世界には町が残りひとつしか無くなった。
もう逃げられない。僕らは自然と戦うことを決意した。
七日目の夜、水柱が降って来た。僕らはぎゅうぎゅう詰めになって両手を挙げた。
お。意外と対抗することが出来るもんだ。六十億人も詰まってるからな。隙間は殆ど無い。
だが相手は自然。一向に弱まる気配が無い。僕らの体力は限界に近付いていた。
だ、駄目だ・・・・・・・・・・!!!!!
ぐしゃ。
・・・・・となった時、僕はちょうどリセットボタンを押した。ゲームは再開すると思ってた。
だが、そこには僕の肉体は無く、魂しか存在しなかった。
おはよう。もう朝だよ。