おれはいつも金がない、それは金の出ない仕事ばかりしているからだ。
呑み友達はおれがどんだけダメか知っているので、仕事をくれない。
でも、タダならこき使う、友達だからな、おれだって嫌じゃない。
金が出る仕事は、心の削れるものばっかりだ。生きるためにやる。仕方ない。
でも友達は、金の絡む仕事は紹介してくれない。
おれが昔、でっかい仕事を落としたり、逃げたりしたのを、知ってるからだ。
ダメじゃなくなりゃいいんだろうけど、どうしたらダメじゃなくなるのかが、わからない。
そんなおれに、でっかい仕事がきた。
規模がでかいだけで、すぐ金になるわけじゃない。
頭の悪いプロデューサーが、タダでこき使える馬鹿を捜していたってわけだ。
友達が、おれに仕事を紹介しないのは、友達だからだ。
「もし、お前が仕事に穴をあけたら、友達でいるのが難しくなる」と奴は言った。
正直な奴だ、誰を殴ればいい?おれはおれを殴るしかなかった。
いつか友達が、胸を張っておれに金の出る仕事を紹介できるように、おれはがんばらなきゃいけない。
「金の出る仕事」はそれなりの責任が伴い、 責任を持てそうにない君には仕事が振れない。 君にもそれがわかっているからこそ、 最後にきっぱりと決意してみせているのだろうに、 「...