2007-11-30

[]顔

彼は自分の顔が嫌いだ。鏡を覗き込んでは鼻がもう少しまっすぐだったら、とか、口がもう少し小さかったら、などと考えて、そして数分後には諦める。気分によってはなかなかいいじゃないか、とか満足もするのだが、もちろんそんな時はそうそうないし、数時間後にふと窓や水面に映った自分に気付いてはいつもよりも更に落胆する羽目になる。

そんなに嫌だったら顔を変えればいいじゃないか、と誰かが言った。当然彼もそう思ったことは何度もあった。しかし美容整形外科の前に行くたびに彼は迷いはじめる。

やっぱり後戻りのできないことだからな、逃げ出したような気分になるんじゃないか?

いや、もし理想の顔になれたとしても、もしかしたらただ自信がないことだけが本当の問題で、理想の顔とやらにも不満は出てくるに違いない……

いや、全てはやってみなければわからないのでは……

いや、やはりやってしまってからでは遅いだろう、それに失敗でもしたら、それこそ失敗したところについて延々悩むことになる……

こうして迷っているうちに彼は疲れてしまい、毎回何もせず家に帰るのだった。彼の不満はいつまでたっても解決しない。

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なんかのとき作った習作をいじり回してたら案外上手くいった、かも。

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