フリーターの弟がいる。彼ももう25歳を過ぎた。
たまに実家に帰るたびに、もっと危機感を持て、そろそろヤバイぞ、と弟にいうがあまり効果がない。
両親もたまに同様のことを言うのだろうが、そのたびにふてくされている。
確かに危機感は誰よりも彼が感じているのだと思う。
が、実際には行動を起こさない。
何をやりたいかがわからない、何ができるかわからないからフリーターに甘んじているのかもしれない。
おれ自身は何事も飛び出してやってみれば、結構何とかなるもんだと思っている。
生来、引っ込み思案な彼には、それが難しいらしい。
そのおかげで、彼のフリーターの収入でも何とかやっていけている。
住む場所には事欠かないのがせめてもの救いだろう。
フリーターとしてはかなり恵まれているほうだ。
しかし、これから先は?
両親も年老いて、そろそろ彼らの健康の心配だってしなくちゃならない。
生活費は年金が既に支給されているので贅沢をしなければ問題ないだろう。
むしろ、弟が実家に残ってくれているのは、両親らにとっては心強いのかもしれない。
そういった意味ではおれも安心なのだが、弟自身の人生はそれでいいのだろうか。
そのままで満足なのだろうか。
居心地良くて、気に入っていて、十分に幸せならば、否定する気もない。
彼の幸せとは一体なんなのだろうか。
おれが考える幸せの尺度とのギャップが、こういった心配を生むのだろうか?
できない事をやれと言われるほど滅入るものはない。 本人がそれで幸せなら良いけど、幸せになれないなら歯を食いしばってでも幸せになる為に努力するしかない。
親がいなくなったら君の家があるじゃないか。 と弟さんは思っていたりするのだよ。
弟が心配というより、そっちが心配なんだろう。