2007-06-26

純文学を読めと彼女は言った

「純文学を読め」と僕は彼女に言われた。

僕が人生で初めて読んだラノベのヒロインだった。

優しくて、賢くって。とても綺麗で。

20歳超えてオタクなんて信じられない。二次元に幻想を抱かれても困る。

汚物をみるような目で、心底哀れむような目で、僕はそういわれた。

ぼきん、と僕の中で何かが折れる音がした。

そうか。幻想は求めてはいけないんだ。愛情なんて求めてはいけないんだ。

(中略)

彼女が楽しみをくれなくなった。

ベタな展開にも飽きてきたので、僕はラノベとさようならをすることにした。

捨てないで下さい、嫌いにならないで下さい、愛して下さい、読んで下さい、続刊が出ないんです。

どうか、どうか。

彼女はそう言った。うーん、そうなのか。

僕は言った。

あのね、僕に幻想や愛情を抱かれても困るんだよね。

続刊が出ない?簡単なことだよね。

「純文学を書け」

のちの桜庭一樹である。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん