うちにはテレビが無かった

2007-05-07

無かったんだよ。

俺が高校卒業して家を出るまで。

とか言ったら「じゃあ浦島太郎みたいになっちゃうんじゃん？」とか言われる。

そうだよ。といっても、普通は小学校から高校まで、社会情勢に気を配る奴なんか居ないだろ？

プロ野球が好きな奴も居なかったし、たいてい自分の身の回り数メートルで起きる事にしか関心が無い。

だからニュースなんか知らなくても困りはしなかった。

別に貧乏だったわけじゃないんだよ。

そりゃ裕福ではなかったけど、両親ともに健在で公務員やってて借金も特に無い。テレビ買う金くらいあった。

ただ、親父がテレビを嫌いだったんだよな。特にバラエティ。

じゃあ何が困ったかと言うと、子供の話題って「前日見たテレビ番組」から始まることが多い。

年齢によってそれがアニメになったりバラエティになったりドラマになったりすると思うんだけど、どれひとつとして

俺はついていけなかった。

未だに俺が非コミュなのは、間違いなくそれが原因だと思う。少なくとも最初のコミュニケーションに失敗したのは確実。

もう大人になったけど、未だに亡霊のように「昔見たテレビ番組」について盛り上がることってあるよな。

俺にはそれも無いんだ。一同が楽しそうにしゃべるのを横目でちら見するだけ。

もしかすると帰国子女とかで、同じような思いをする人は居るかもしれない。

でもそれだって同時代に同じ文化を享受した人間が世界のどこかには居るわけだろ？もしかするといつかどこかで

同じような体験をした人と巡り合って、「わかるよー！」ってものすごく盛り上がれるかもしれない。

そこから恋人が出来たり、ビジネスチャンスをモノにしたり、命を救われることすらあるかもしれない。

でも俺にはそんな相手は居ないんだ。

テレビが憎い。