学校行事として、一泊二日の合宿研修に行ってきた。何事も無く退屈に進むと信じていた一日目の夜、僕は、彼氏らしい男と逢い引きをする昔の彼女を偶然に目撃した。
既に別れたのだから、何も言える立場でも、言うべき立場でもないことは認識していたけれど、それでも僕は、認めたくないと思ってしまった。
友人として接すると誓った筈だった。二度と振り回されまいと決めた筈だった。全てに納得がいった筈だった。しかし、僕は何一つ振り切れていなかった。割り切れていなかった。それを認めたくないだけだったのだ。
全てがもう手遅れだった。当たり前かもしれないけれど、彼女はさっさと振り切って、次に進んでいた。僕は何も捨てられず、ただその場に立ち止まっている。