誰にも彼にもいらいらとしてしまう日には、あったかいコートをきて、好きなCDを聞きながら街をふらふらと彷徨おう。寒い日の風の気持ちよさとか、涙を誘う歌声とか、そんなものがきらきらしていて自分なんかどうでもよくなる。泣きたくなる。
世界にはこんなにもすごい人が一杯いるのに、わたしには何もできない。
きっとあのこにも、何も出来無い。
彼にも、なにもできない。
だけど世界は凄い人ばかりいるように感ぜられるときもあって、この世はなんなんだろうと思う。
わたしは文章の力なんてぜったいに信じない。
わたしは自分の思い込みと自己愛だけを信じる。
わたしは文章の力なんてぜったいに信じない。
思い上がるな!
すべての言葉を使う人たちよ、思い上がるな。
わたしはなにもかもを呪いたい気分で、泣きたいと思いながら、美しい音楽を聴いて、悲しくなって、家に帰る。
それでいいんだと思う。家の中で腐っているより、よほど健全だ。
思い上がるなと世界はわたしに言う。一度の外出で手に入れる感覚は、一冊の本よりよほど重い。